話の肖像画

ポケットマルシェ代表・高橋博之(44)(2) 震災で岩手県知事選に出馬

生産者と消費者をつなぎ、一次産業の付加価値を高めるポケットマルシェの高橋博之社長
生産者と消費者をつなぎ、一次産業の付加価値を高めるポケットマルシェの高橋博之社長

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〈平成23年3月11日、東日本大震災で東北は大きく傷ついた。故郷、岩手で県会議員をしていた。7年以上たった今も癒えない傷が、人生の転機をもたらした〉

震災のときは岩手県議会で決算審査の委員会の最中でした。委員会は中断し、県議会にとどまって自家発電でついたテレビを見ていました。やがて津波の映像が画面に迫りました。

沿岸に住む議員は自宅に帰ることはできません。自分は内陸の花巻市出身でしたが、一緒に残って情報収集を続けました。3日後、被災した沿岸の山田町へ入り、大槌町などの避難所を回りながら、必要な物資を手配していました。

それまで漁師さんと付き合いはありませんでした。それが友達になって、食べ物の表側しか見ていなかったことに気付いたんです。自然を相手にする生産者たちの世界観や哲学に触れ、その豊かさに第1次産業を見る目が変わりました。

〈地域の声を置き去りに進んでいくように感じる復興計画。政治家として、方向性に違和感を持つようになった〉

県議会で審議していた復興計画は、一律に防潮堤を建設するものでした。被災地の漁師たちは「どんなに立派なものをつくっても自然にはかなわねえ。逃げればいい」「海を隔てる巨大なものをつくると、恵みからも遠ざかる」と言っていました。

震災前の県議会は、新規事業もままならない財政で、どう行政を運営していくかが議論の中心でした。