佐藤優の世界裏舞台

正教会による代理戦争

コンスタンチノープル総主教庁の決定にロシアが激しく反発し、プーチン大統領が陣頭指揮を執って対抗策を練っている。13日、露紙イズベスチヤ(電子版)は、こう報じた。

〈プーチン大統領は、ウクライナにおけるロシア正教会をめぐる状況について、ロシア安全保障会議の常任メンバーと討議をした。ペスコフ大統領報道官によれば、「コンスタンチノープル総主教庁の決定の後のウクライナにおけるロシア正教会の状況についても意見交換が行われた」。会合はモスクワで行われ、メドベージェフ首相も参加した。

11日にコンスタンチノープル総主教庁は、ウクライナの正教会に自治を付与することを確認した。さらに、1686年にキエフ主教区をモスクワ総主教区に移管した決定を取り消す宣言がなされた。

ラブロフ露外相は、ウクライナにおける教会に自治を付与するとのヴァルフォルメイ・コンスタンチノープル総主教の行為に対して挑発的であると指摘した。

9日、ロシア正教会のキリル総主教は、現在、一般の人々は合法的な教会に一体となってとどまっていると指摘した〉

キリル総主教は、ソ連時代にはKGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)と良好な関係を持ち、ソ連崩壊後はロシア愛国主義イデオロギーを称揚し、プーチン大統領の信頼が厚い。ロシア正教会幹部は、KGBの後継機関であるFSB(連邦保安庁)やSVR(対外諜報庁)とも良好な関係を維持している。「宗教的、精神的にロシアとウクライナを西側の脅威から防衛しなければならない」とロシア正教会幹部は考えている。NATOとロシアの代理戦争がコンスタンチノープル系の正教会とモスクワ系の正教会の間で展開されていることになる。

会員限定記事会員サービス詳細