津波報告「記憶ない」 武黒元副社長、謝罪も 東電強制起訴公判

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3被告の第32回公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。元副社長の武黒一郎被告(72)の被告人質問が行われ、武黒被告は最大15・7メートルの津波が原発の敷地を襲うとする試算について「(報告を受けた)記憶はないが、あってもおかしくはない」と答えた。元副社長の武藤栄被告(68)は、武黒被告に報告したと証言していた。

 武黒被告は冒頭、「原発の責任ある立場にあった者として深くおわび申し上げる」と述べて立ち上がり、深く一礼した。

 武藤被告は被告人質問で、政府の専門機関による地震予測「長期評価」を基にした津波高の試算結果を平成20年6月に担当者から伝えられたと説明。試算結果は8月に武黒被告に報告したと述べていた。武黒被告は報告の記憶はないとした上で、「武藤さんには報告をお願いしていたので(報告が)あってもそうかなと思う」と説明した。

 また検察官役の指定弁護士側は、3被告が出席した同年2月の通称「御前会議」で、長期評価を津波対策に取り入れる方針が一度は了承されたと主張している。しかし武黒被告は「会議は各部署の情報共有の場で、何かを承認する場ではない。会議で(津波対策の)説明があったか覚えていない」と語った。

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