華麗なる宝塚

星組男役スター、瀬央ゆりあ 初単独主演 遅咲きの大輪

舞台人としての意識が大きく変わったのは2011年。専科、轟悠(とどろき・ゆう)の主演公演「おかしな2人」の稽古に、元星組娘役トップで同期の妃海風(ひなみ・ふう)とともに代役として参加した。

稽古場で、徐々に作品が出来上がっていく過程を見続け、「お芝居って、すごく楽しい!と感じた」。そして初日の幕が開く。「稽古初日から、参加していても代役の自分は舞台に立てない。自分は見る側ではなく、そこ(舞台に)立ちたいんだと強く思った」

経験を重ねた昨年、その轟の主演作に出演、主人公と絡む大役を演じた。稽古期間が短い中、轟は多くのアドバイスをくれた。それは答えではなく、「ここはもう少し格好良くできるから、考えてみて」と言われるなど、課題を与えてくれるものだった。

「己で考える力を身につけさせていただいた。私も下級生に何か教えるとき、そうありたいです」

下級生時代、1年を長く感じていた。「組のメンバーが小劇場や外部劇場など色々な公演に分かれても、私はどこにも出演しないお休み組。大劇場公演以外、出演しないから、月日が流れるのがすごく遅かったです」と苦笑い。

そんな時、心には恩師の金言があった。「腐るなよ、腐ったら終わりだからな、絶対に腐るなよ」-。宝塚音楽学校の講師も務める、今作演出の正塚氏が、卒業時の最後の授業で言った言葉だ。「ずっと、その思いでやってきたので。正塚先生に自分の単独初主演作を書いていただけて、本当にうれしい。新境地を見せたいと思います」

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