後先考えずに行動するところも、役と近いそう。子供の頃から負けず嫌いで、ライバルは3歳上の兄。家族でキャンプ中、崖から川に飛び込めなかった兄を見て、「なら、自分は絶対やりたいじゃないですか。止められていたのに、家族が食事中に…。すごく怒られました」と笑わせた。
主人公は、自身の心の穴を埋める何かを探しながら、成長していく。「常に何か満ち足りていない感覚は分かります。進路に迷っていた頃はもちろん、宝塚に入ってからも。自分に満足したら終わりだから」
中学時代、幼稚園まで教わっていたピアノ教師に街で偶然、再会した。その教師が宝塚を好きだったことから、宝塚を知り、宝塚音楽学校を受験。3度目で合格した。「当時、この道に進みたいのかどうか分からなかったけれど、最初に落ちたことがすごく悔しくて受け続けた。負けず嫌いなので」と笑う。それゆえ、入学後、宝塚が大好きで入学した仲間たちとの温度差を感じ、「これでいいのか」と悩み迷っていた。
2009年入団。娘役トップを3人輩出し、各組で主要な立場の男役スターがそろう花の95期の1人。自身は入団7年目の最後の新人公演で初主演し、10年目の今年にバウ単独初主演という遅咲き。早くから注目され、先を行く同期たちの背中を見てきた。
「(優秀な同期との)距離を感じた? そりゃあね(笑)。でもあまりにも開き過ぎているので。すごいな~と思うけど、比べても仕方がないから。追いつかなきゃ、という気持ちは本当になくて。ただ、できない自分自身に対して、悔しかった」
何より同期はみな、とても仲がいい。「分からないと言ったら、教えてくれる環境にも助けられてきた。この同期じゃなかったら、辞めていたかも」と強い同期愛を口にした。