高見国生の認知症と歩む

(2)早期診断…多様な症状

 みなさんは、認知症にどんなイメージを持っておられますか? 恍惚(こうこつ)の人でしょうか? 恍惚の人とは、昭和47年に発行されてベストセラーになった有吉佐和子さんの長編小説の題名で、認知症の人(当時は痴呆性老人)の代名詞として使われました。何もできない、何も分からない、変な人というイメージです。

 しかし最近は、認知症カフェのマスターをしたり、大勢の人の前で講演したりする人もいますから、認知症になっても何も変わらないのだと思っている人もおられるかもしれません。

 かつて、「痴呆」といわれていたころは、高齢で症状も重い人ばかりでしたが、「認知症」に変えられてからは、若い人、症状の軽い人が現れてきました。それは、病気が変わったのではなく、診断技術が進んで早期発見されるようになったからなのです。

 ここ20年ほどの間に、一見しただけでは認知症と分からない人から介護が大変な人まで、認知症の幅が広くなりました。昔は、わが国には脳血管性認知症が多いといわれていたのが、今ではアルツハイマー病が最も多いとされ、レビー小体型や前頭側頭型も増えてきています。病名が違えば、表れる症状にも違いがあり、本当に認知症は多様だなあと思います。

 だから、ある部分や特定の人だけを見て、「これが認知症だ」と思い込んではいけません。老若男女、職業や社会的地位、国籍を問わず認知症になる可能性があるのです。わが国では、7年後には65歳以上の人の5人に1人が認知症になるといわれています。あなたやあなたの家族が発症しても不思議ではありません。備えあれば憂いなしです。これから、認知症についての知識を身につけてください。=次回は11月1日に掲載