文芸記者が読む

女優、紗倉まなさんの文芸誌デビュー作「春、死なん」 生と性と死に寄せる鋭いまなざし

【文芸記者が読む】女優、紗倉まなさんの文芸誌デビュー作「春、死なん」 生と性と死に寄せる鋭いまなざし
【文芸記者が読む】女優、紗倉まなさんの文芸誌デビュー作「春、死なん」 生と性と死に寄せる鋭いまなざし
その他の写真を見る (1/2枚)

 お笑い芸人、又吉直樹さんの芥川賞受賞から3年余り。異ジャンルで活躍する才能が文学の世界に進出する動きは続いている。文芸誌「群像」(講談社)10月号に掲載された、セクシー女優、紗倉(さくら)まなさん(25)による小説「春、死なん」もそのひとつ。作品から読み取れる文学性、そして作家としての可能性は? 400字詰め原稿用紙換算で120枚にのぼる文芸誌デビュー作を読み、考えた。

年長の人物を描く

 紗倉さんは平成5年生まれ。10代でセクシー女優としてデビューし、映画にも出演。文才も早くから評価され、小説も「最低。」「凹凸」と、すでに単行本2冊を出版している。

 ただ「群像」や「新潮」(新潮社)、「文学界」(文芸春秋)、「すばる」(集英社)、「文芸」(河出書房新社)といった純文学作品を載せる主要文芸誌に小説を発表するのは今回が初めて。ちなみに年に二度ある芥川賞の候補は、ほとんどこれらの文芸誌の掲載作が占めている。

 「群像」10月号の目次には〈高齢者の性を描く鮮烈な文芸誌デビュー作〉といった宣伝文句が踊る。

 一般に小説を書く場合、自分よりも年少の人物に視点を設定したほうがハードルは低いといわれる。年長の人物を描くと、どうしても人生経験の浅さが文章の端々に出て、人物像が薄っぺらくなってしまうからだ。25歳の若い女性がはるかに年上の男性を描く。その心意気に感心しながらページをめくっていった。

会員限定記事会員サービス詳細