津波対策先送り、東電元会長ら何語る? 公判大詰め

 グループは20年6月、試算結果を武藤被告に報告。翌7月、防潮堤の建設を検討した担当者が「建設に約4年、費用は数百億円に上る」と伝えた会議で、武藤被告は長期評価の信頼性を外部有識者に検討してもらう方針を示した。社員はその後も「対策は不可避」と考えていたという。

 一方、グループ責任者だった元社員は、対策を保留した武藤被告の方針について「技術的に合理的だと思った」と証言。結局、再評価の報告は延期され、事故まで対策は実現しなかった。

信頼性の有無

 なぜ東電は対策の保留を選んだのか。弁護側は「長期評価は信頼性が疑問視されており、すぐに対策を求められる性質のものではなかった」と主張している。

 証言台に立った東北大の今村文彦教授は「専門家の間でも信頼性の議論が分かれていた」と発言。一方、長期評価を取りまとめた東大の島崎邦彦名誉教授は「長期評価に基づく対策をしていれば、何人もの命が救われた」と嘆いた。

 被告人質問では、3被告が津波高の試算をどう受け止め、どのような意思決定で津波対策を先送りしたかが注目される。

 これまで東電関係者らは、主に武藤被告への報告について証言したが、検察官役の指定弁護士側は、元会長、勝俣恒久被告(78)と元副社長、武黒一郎被告(72)も報告を受けており、対策する義務があったと主張している。

 指定弁護士側は、3被告がそれぞれどこまで危険性を認識していたかを立証する必要がある。被告人質問では、3被告それぞれの業務権限についても詳しく問われることになりそうだ。

 被告人質問は、16、17日に武藤被告、19日に武黒被告、30日に勝俣被告が予定されている。

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