世界的に優れた芸術家に贈られる第30回高松宮殿下記念世界文化賞(主催・公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の授賞式典が、23日に東京・元赤坂の明治記念館で行われる。同賞創設から30周年を記念し、式典には第26、27回の受賞者4人が出席する。来日を前に寄せられた30周年を祝うメッセージを紹介する。
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日本と、その及ぼした大きな影響を考えないで、過去150年間の美術を理解するのは不可能です。影響はゴッホからマチス、ブランクーシからイヴ・クラインまで、そのリストは大変長いものになるでしょう。
私の初訪日は1970年の「第10回日本国際美術展東京ビエンナーレ」(『人間と物質』展)に参加したときです。忘れがたい経験でした。日本は、大きなエネルギーと近代化への熱意が依然、日常生活に存在している文化的な伝統と共存している国でした。純粋さ、形式の単純さ、物と技にさえも見られる動作の優雅さ、いずれも人生の哲学とユニークな世界観を示していました。
精神、手、事物の完全なる調和が存在する純粋さを見つけるのを目的とした動作の反復は、彫刻に関係して、私が特に印象を受けた文化の一側面です。
その後、展覧会で何回も訪日しました。その度に、新たな違った形式と側面で、日本を特別にする文化的なアイデンティティーの証拠として、こうした同じ価値を見つけました。
世界文化賞はこのビジョンを表すものと思います。なぜなら、人類によって感じられた感情と共通の思想の表現として、芸術の普遍的価値を顕彰するからです。
私は厳粛な授賞式をその重要性と名誉を認識しながら感動とともに思い出します。また、その前日の明治神宮での清めの神事と伝統楽器による奉納演奏を、日本の豊かさと並外れた文化の証拠として、鮮やかに思い出しています。