■人との出会い、広がる日常
プロレス大会のポスターを貼るために県内外の各所を回るなかで、同時に料理がおいしく食べられる店も探す「食べ歩き」がライフワークになりました。私は量より質。少量でいいので、おいしく食べたい。ただ、一緒に連れて行くレスラー仲間たちはどうやら違うようです。はたで見ていて「みんな本当に味わって食べているのか?」といつも疑問に思います。
食べ歩きの醍醐(だいご)味は、人との出会いです。東京・自由が丘のイタリア料理店「バッボ・アンジェロ」の料理人、コッツォリーノ・アンジェロさんもその一人です。通ううちに気心が知れ、試合にもセコンドとして参加してもらいました。
東日本大震災の復興支援でも、一緒に福島県を訪ねました。二本松市の幼稚園では、アンジェロさんがピザを焼き、われわれはプロレスを披露しました。平成27年秋のことです。
屋外リングを設営していると、雨が降りだしました。園児に風邪を引かせてはいけません。困っていると、隣のお寺が場所を貸してくれました。本堂でのプロレス大会は、世界初ではないでしょうか。子供たちはみな大喜びです。その笑顔は、われわれにとっても最高の思い出です。
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【メモ】昭和55年生まれの38歳。川崎市多摩区出身・在住。東海大学短期大学部情報ネットワーク学科を卒業後、平成15年にプロレスラーデビュー。25年、川崎市でプロレス団体「ヒートアップ」を立ち上げ、現在も代表兼選手として活躍する。「プロレスを通した社会貢献、障害者支援、青少年育成を目指す。夢や目標を持つと、普段の生活も数倍、楽しくなると子供たちに伝えたい」