今年のサンマは2割安 昨年の不漁から脱却 水揚げ量なお低水準 資源枯渇の懸念は続く

今年のサンマは2割安 昨年の不漁から脱却 水揚げ量なお低水準 資源枯渇の懸念は続く
今年のサンマは2割安 昨年の不漁から脱却 水揚げ量なお低水準 資源枯渇の懸念は続く
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 秋の味覚の代表格、サンマ漁が佳境を迎えている。今年の水揚げ量は半世紀ぶりの不漁に見舞われた昨年を上回るペースでスタートし、価格も2割安の水準。身の大きさ、脂ののりがともに良いといううれしい情報もある。ただし水揚げ量の水準自体は低いままで、日本が目指すサンマの資源回復にはほど遠い。大衆魚の資源管理は当面、綱渡りが続きそうだ。

 今年は8月中旬から北海道東沖で主力の棒受け網漁が始まり、8月の水揚げ量は前年同月比21%増。現在は根室市から南に約130キロ沖合で多くの漁船が操業中だ。東京・築地市場によると、今月5日のサンマの卸売価格(中値)は1キロ=432円で昨年同時期よりも2割安。スーパーでも1匹100円を切る価格だ。

 今年は缶詰用に回される小さいサンマが少ないとの朗報もある。産地では、長さ約30センチ以上、重さ約130グラム以上の生鮮用のサンマを扱う食堂の人気が上々だ。北海道・納沙布岬の鈴木食堂(根室市)ではこの時期、生サンマを一匹丸ごと使った「生さんま丼」(1300円)が売れ筋。「今年は脂ののりがいい」と評判で、多い日には約130人前を売り尽くしてしまうという。

 それでも「今年は豊漁」と安心するのは早い。これから魚群は徐々に南下していくが、漁業情報サービスセンターが9月下旬に出したサンマの中短期漁況予報には「来遊量は増加するものの低位水準」という文字がずらっと並んだ。担当者は「この数日の全国の水揚げ量は多くても2千トン台。本来なら4千トン台に乗る日もあるはずで、そこから比べると少ない」と話す。

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