酒呑み鉄子の世界鉄道旅

飲まずにはいれないジョージア料理 どデカい小籠包に半熟玉子のせトロけるチーズピザ

飲まずにはいれないジョージア料理 どデカい小籠包に半熟玉子のせトロけるチーズピザ
飲まずにはいれないジョージア料理 どデカい小籠包に半熟玉子のせトロけるチーズピザ
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国鉄に乗るジョージア旅(3)

温泉につかって冷えたビールをくいっという、日本人らしい楽しみ方を前回ご紹介したが、酒が止まらなくなるのがジョージア料理だ。「ユーラシア大陸のこんな先にどうして?」と思うほど、日本人好みの酒のアテ(というわけでもないそうだが…)が充実している。もしあなたが空腹時にこれを読んでいたら申し訳ないが、いくつかご紹介しよう。(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文、取材協力:Grorgia National Tourism Administration

お酒、もう1杯!

まずはジョージア人の国民食といわれる「ヒンカリ」。肉汁を閉じ込める形状から、便宜上「ジョージア版小籠包」と言われるが、その実体はまったく別物。小籠包といえば、皮が破れないようにそっと優しく扱わなければならない、ふるふるとした繊細さが特徴だが、ヒンカリにそんな気遣いは無用。大きなものなら子どものこぶしほどもあり、肉々しい食感を残したひき肉(羊、豚、牛)の餡が、厚い皮にしっかりと包まれている。その皮の上部、ねじった部分を豪快に手づかみして香ばしい皮をかじると、中からエキゾチックなスパイスの香りをまとった肉汁が一気にほとばしる。これをすすってビールやワインをごくり。

もうひとつ、酒ドロボーな料理が「ハチャプリ」だ。これはハンドトスのナポリ風ピザを素朴にしたようなもの。形はピザのように平らで丸いものや写真のようなボート型など地方により変わり、具材は店や家庭によってさまざまだが、しっかりと小麦の香りのするぎゅっと凝縮した厚手の生地と、とろけるタイプの酸味のあるフレッシュチーズの組み合わせが基本になっている。なかでも人気はアジャリア地方のハチャプリで、なんとチーズにたまごを割り入れてオーブンで熱々に焼き上げ、食べる直前にパターをたっぷりのせて、それが金色に溶け出したところを一気に混ぜ合わせて頬張るのだ。お酒、もう1杯!

ほかにも、かたまり肉をゴロゴロと大きく切り分け、巨大な串に刺してぶどうの枝で豪快に焼き上げる串焼きや、ハム、サラミ、ソーセージといったシャルキュトリ、牛スネ肉の煮こごり風なんてものまであって、肉好きにはたまらない。そんな肉類が国産ミルクを使った新鮮なチーズと共に登場するのだ。「体質的にアルコールを飲めないジョージア人はどうするんだろう」と心配になるほど、ジョージア料理は酒のアテのオンパレード。さすがに現在は法律で規制されているそうだが、かつては「13歳くらいから遠足にワインを持って行くのが普通だった」という。

そう、ジョージアといえば、いま世界中のワイン好きが注目しているワイン天国。筆者が旅した国の中では、これまでエジプトやトルコが「世界最古のワイン産地」を名乗っていたが、ジョージアでは8000年も前からワインを造っていたことが発見された。ジョージアの伝統的なワイン製法は、日本の和食と同じタイミングでユネスコの無形文化遺産に登録されている。次回は、日本ではまだ珍しいジョージアのワインをレポートします。

国鉄に乗るジョージア旅(4)最新でモダンな国際レベルの列車

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