【映画深層】最後の主演作「教誨師」がスクリーンに刻んだ大杉漣の役者魂(3/5ページ) - 産経ニュース

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映画深層

最後の主演作「教誨師」がスクリーンに刻んだ大杉漣の役者魂

新入社員と無名の俳優

 大杉とは、以前から映画を一緒に撮ろうという話はしていたが、3年ほど前にこの企画を持ちかけたところ、「それ、いいんじゃない」とすんなり主役を演じてくれることになった。

 大杉との接点は、佐向監督が映画の宣伝マンだった20年以上前にさかのぼる。成城大学の学生時代、友達相手に見よう見まねで撮った自主映画を神奈川県映像コンクールに出品したところ、審査委員長の大島渚監督に認められ、審査員特別賞を受賞。卒業後はケイエスエスという映画会社に入るが、ここで大杉と運命の出会いをする。

 ある日、黒沢清監督の映画でトークイベントが開かれ、出演者だった大杉が観客で来ていた。「打ち上げに大杉さんも呼んできて」と先輩にいわれた新入社員の佐向監督は、実は大杉の顔を知らなかった。

 「映画館のポスターを見ている背の高い人がいて、あの人が大杉さんかなと思って声をかけたら、『君、僕のことわかるの』っていわれた。もちろんです、と答えたが、それが最初でした。後に大杉さんにその話をしたら、全然覚えていなかったんですけどね」