【映画深層】最後の主演作「教誨師」がスクリーンに刻んだ大杉漣の役者魂(2/5ページ) - 産経ニュース

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映画深層

最後の主演作「教誨師」がスクリーンに刻んだ大杉漣の役者魂

 佐向監督がこのモチーフに行きついたきっかけの一つに、平成23年の東日本大震災がある。前作の短編を撮り上げた翌日に震災が起き、何を撮りたいのか、どんな題材がいいのか、自分の中で迷いが出た。

 「その間に子供もできたりして、自分の人生も変わってきた。子供の未来を守るためにどうしたらいいのかを考えたとき、真剣に人と人が向き合って魂をぶつけ合う。そういうものが一番やりたいことかもしれないと思ったんです」

 教誨師は、刑務官を描いた平成19年の映画「休暇」(門井肇監督)の脚本を書いたときに調べたことがある。勝手なイメージでは、刑を終えた後にまっとうな生活が送れるよう更生させる人と思っていたが、では社会に出ることがない死刑囚の場合はどんな話をするのか。実際に教誨師に話を聞くと、まずは相手の言葉に耳を傾けた上で「あなたは神に愛されているんですよ」と諭すのだという。

 「社会に適合できなかった人たちをちゃんと受け入れてあげることが大事なんです。それを作品の骨格にしようと思いました」