ALSの治療薬、北米全域に販路 カナダで承認 田辺三菱製薬

 全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行を抑制する田辺三菱製薬の治療薬について、カナダ保健省が同社に対して承認の結果を伝えたことが4日(日本時間5日未明)、分かった。「エダラボン」という薬で、昨年5月には米国でも承認されており、北米全域に販路が拡大する。今後は自社販売だけでなく、海外の製薬会社とも提携し、各国・地域での承認を踏まえて、普及を図る。

 エダラボンは平成27年に日本でALS治療薬として承認を取得。現在、韓国と米国で販売され、カナダ、スイス、欧州医薬品庁(EMA)にも承認の申請をしていた。

 米国では毎年5千~6千人がALSと診断されているが、エダラボンの発売まで約20年間、治療薬は1種類しかなく治療の選択肢が限られていた。患者団体が米食品医薬品局(FDA)などに早期の承認を求めたことから、米国での治験データに代わり、日本のデータを用いる異例の対応が取られ、申請受理から9カ月で承認された経緯がある。

 カナダでは今年4月、保健省がALS治療薬としての承認申請を受理し、優先的な審査が決まった。

 これまでの審査の結果を踏まえ、カナダ側から承認の連絡が田辺三菱側にあったという。約半年でのスピード承認となった。

会員限定記事会員サービス詳細