北朝鮮向けラジオ「しおかぜ」また休止 中波放送 調査会、打開探る

中波タイプが主流

 公安関係者によると、北朝鮮のラジオ受信機は短波タイプが主流だったが、中波タイプが取って代わり、現在では北朝鮮内に存在する約300万台の受信機のうち3分の2以上を中波タイプが占めるとみられる。

 北朝鮮は放送の有線化を進め、ラジオ受信機の所持も厳格に取り締まっているが、中国から密輸される受信機などを利用する人が増え続けているとされる。

 中波は短波に比べ電波が安定し、音声も聞き取りやすく、調査会が北朝鮮との国境に近い韓国側で行った現地調査でも良好な受信が確認された。周波数が近い日本の放送との混信も判明したが、放送時間をずらすなどの改善を進めてきた。

 しおかぜは今年も積極的に活動し、政府の短波ラジオ「ふるさとの風」と共同収録も実施。有本恵子さん(58)=拉致当時(23)=の父、明弘さん(90)ら被害者家族や拉致の可能性が排除できない特定失踪者家族のメッセージなどを短波で放送している。

 北朝鮮は6月に米朝首脳会談を行うなど融和姿勢をアピールする中でも、しおかぜへ妨害電波を執拗に発射しているといい、番組制作を担当する調査会の村尾建兒(たつる)副代表は「融和姿勢と裏腹に、政権に不都合な情報を遮断したい『本音』が見える」と指摘。「電波は国境や統制を飛び越え情報をダイレクトに伝える。拉致被害者救出の重要な局面で、何としても早期再開にこぎつけたい」と語った。

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