北朝鮮による拉致被害者や北朝鮮国民に向けて発信している民間のラジオ「しおかぜ」の中波放送が5月から休止したまま再開のめどが立たず、運営する特定失踪者問題調査会が新たな放送ルートの確保など打開策を検討していることが3日、分かった。電波の発信は海外の民間ラジオ局に委託しているが、明確な理由が分からないまま中断が続いており、早期の放送再開に向け対応を急いでいる。
資金不足などで
しおかぜは短波放送に加え、平成28年9月に中波放送を始めたが、資金不足などでたびたび休止。今年度に政府が業務委託費を予算計上する支援策を打ち出す中、4月に放送を再開したものの、ラジオ局の申し入れで5月22日から再度、休止状態となった。
調査会はラジオ局に再三再開を要請したが、めどは立っていない。同局は28年にも「セキュリティー上の問題がある」と説明し放送を一時休止したが、今回、明確な理由は不明だという。
中波放送を開始する前、調査会は日本国内の送信施設の使用を検討したが許可が得られず、第三国から放送を行ってきた。ただ、海外を経由する放送はコスト面などの課題もあり、日本国内からの放送実施も含め安定した運営を継続するための検討を進めている。