「第四のがん治療法」失望繰り返し復権 本庶氏ら貢献の免疫療法

 免疫の力でがんを治療する「がん免疫療法」。数十年前から多くの試みが行われ、そのたびに期待を集めたが、十分な効果が得られず失望を招くという歴史を繰り返してきた。しかし本庶佑氏らが開発した免疫チェックポイント阻害薬の登場で、「第四のがん治療法」として普及していく可能性が高まっている。

 がん免疫療法の発想は古くからあるが、1980年代になって研究が活発化した。免疫細胞から分泌されるサイトカインと呼ばれるタンパク質を投与することで免疫力を高める方法が検討され、「夢の抗がん剤」と注目されたインターフェロンなどが使われたが、期待はずれに終わった。

 がん細胞に現れる特有の物質をワクチンとして投与するがんワクチン療法も行われた。しかし、がん細胞では多くの遺伝子変異が起きているため、目印となる物質も変化してしまう。このため効果は限定的で、今世紀に入るとワクチン療法は下火になった。

 その後、患者の免疫細胞を取り出し、活性化させて体内に戻す方法などが行われ、一部で効果があったものの、広く実用化するには至らなかった。

 こうした中で登場した免疫チェックポイント阻害薬は、従来と全く違う仕組みで目覚ましい効果を発揮。これを受け米科学誌サイエンスは科学界でブレークスルーを起こした2013年の十大成果の第1位に、がん免疫療法を挙げた。

 がん治療では手術、放射線、抗がん剤が三大療法となっているが、本庶氏らの貢献で免疫療法が復権を果たし、4つ目の治療法として存在感を高めている。

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