ふるさと 老舗あり

北海道浦河町 大黒座 映画の火ともし続ける 創業100年 地元に支えられ

【ふるさと 老舗あり】北海道浦河町 大黒座 映画の火ともし続ける 創業100年 地元に支えられ
【ふるさと 老舗あり】北海道浦河町 大黒座 映画の火ともし続ける 創業100年 地元に支えられ
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 日本有数の競走馬生産数で知られる北海道浦河町。人口約1万3千人の小さな町に今月、100年を迎えた映画館「大黒座」がある。6日に起きた最大震度7の北海道胆振東部地震を乗り越え、11月には100年を記念し、ファンのリクエストに応じた上映会を開くという。

演芸小屋からスタート

 全国でも数少なくなった単館映画館である「大黒座」は、富山から北海道に移住した三上辰蔵さん=昭和22年死去=が演芸小屋として始めた。

 浦河町は江戸時代から、関西や東京を結んだ北前船の寄港地で、港周辺には料亭があり、芸者も多数いたという。

 4代目館主、雅弘さん(67)は「曽祖父は大工でしたから、自宅に旅芸人を泊まらせているうちに自分で劇場を作ったのでしょう。芸事や人が集まる空間が好きだった。座席は座敷。下足番もおり、冬は火鉢で暖をとっていたと聞いています」と話す。

 娯楽がない時代だ。小屋は大繁盛で黒山の人だかりになっていたという。

 今ももぎりを手伝う母親の雪子さん(93)は「地方巡業の弁士や楽士のご飯の世話もしなければならず、忙しかった」と記憶をたどった。

映画斜陽の時代に

 3代目館主となった雅弘さんの父、政義さんは興行がきらいで家業を継ぐつもりはなかったという。しかし、学徒動員で戦地に赴き終戦を迎え郷里に戻り、辰蔵さんが亡き後、女手一つで2代目として切り盛りしていた母親のヨネさん=昭和29年に死去=の姿を見て継ぐことを決意、情熱を傾けていった。