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日本電産創業者の永守重信氏、社会貢献に私財200億円超…寄付をし続ける理由

 海外では、パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を世に送り出した米マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏が寄付に熱心なことで知られる。途上国のエイズやマラリア、結核の根絶や教育・貧困問題の改善などに役立ててもらうため、妻らと設立した財団に多額の私財を拠出している。

 日本でも近年、企業経営者による寄付が広がってきた。立命館大には電子部品製造のニチコン(京都市)創業者でOBの故平井嘉一郎氏の遺志で最新鋭の図書館が寄贈され、平成28年に開館した。また、家電量販店ミドリ電化(現・エディオン)創業者の安保詮(あぼ・あきら)氏は「創業の地に恩返ししたい」として、兵庫県尼崎市に約10億円の私財を投じ「尼崎城」を復活させるプロジェクトを進める。

「京セラ抜く」が口癖

 永守氏の社会貢献はこうした寄付にとどまらない。今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪で金メダル2個を獲得したスピードスケート・高木菜那選手(日本電産サンキョー)にポケットマネーから報奨金4千万円を贈ったほか、向日市ではJR向日町駅周辺にグループ会社などを集めた第2本社構想を検討している。

 永守氏の経営哲学の一つが「一番以外はビリと同じ」(日本電産関係者)。上場前から永守氏を知る京都財界の関係者は「将来は京セラを抜くというのが口癖のようだった」と語る。

 永守氏が強く意識してきた京セラの創業者、稲盛和夫氏は稲盛財団を通じ、今やノーベル賞の前哨戦ともされる「京都賞」を創設。30年以上にわたり、国内外の優秀な研究者らを表彰している。

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