主張

新車検査の不正 構造改革へ危機感あるか

 自動車の完成検査をめぐる不正が、またも拡大した。日産自動車で新たな検査項目での不正が判明し、スズキでは排ガスや燃費の測定データで改竄(かいざん)がみつかった。

 一連の検査不正は昨年9月、日産で資格を持たない担当者による検査が発覚して以降、各社が調査するたびに新たな不正が明らかになる。

 そのたびに経営トップが法令順守の徹底を約束するが、不正の根絶はできない。

 とくに懸念されるのが、人手不足による検査体制の不備である。人員削減などのコスト対策を優先し、必要な検査要員を確保していないなど、構造的な問題が明らかになっている。

 これは日本の自動車産業への信頼失墜だけでなく、国際的な産業競争力の低下にも直結する深刻な事態だ。業界全体で、厳しく受け止めるべきである。

 日産がまとめた調査報告によると、すでに判明している燃費や排ガスの測定データの改竄に加え、ブレーキ液残量の警告灯でも検査をしていなかったり、クラクションの音量データを偽ったりしていた。スズキは8月時点の燃費・排ガス検査の不正報告で「データの改竄はない」と説明していたが、さらなる調査で、改竄の事実が判明したのだという。

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