鑑賞眼

Noism1×SPAC 劇的舞踊「ROMEO&JULIETS」 「分裂」「統合」鮮やかに振り付け

劇的舞踊vol.4「ROMEO&JULIETS」

演目名はロミオとジュリエット「たち」。車いすのロミオと、5人のジュリエットによる、斬新な劇的舞踊に当初、あっけにとられたが、次第にこの仕掛けと振り付けの美しさに、心を動かされた。1人の女性の複雑な内面を可視化する「分裂」と、5人のダンサーの連動した動きによる「統合」が、鮮やかに表現されていたからである。

国内唯一の公共劇場(りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館)の専属舞踊団「Noism1(ノイズムワン)」の新作。シェークスピアの戯曲は、同団芸術監督の金森穣(じょう)の演出・振り付けで、近未来の病院で展開する悲劇になった。

無機質なモノトーンの空間に、ダンサー11人と、客演する静岡県舞台芸術センター(SPAC(スパック))の俳優8人が登場。露作曲家プロコフィエフの同名バレエ作品の旋律に合わせ、病んだ集団がぶつかり合う中から、男女の愛が生まれる。

特にロミオとジュリエットが心通わせる、バルコニーの場面が秀逸。滑るように走る車いすの速度を生かした振り付けで、5人のジュリエットが車いすと一体化し、手足を掲げる「パ・ド・ドゥ」(男女2人の踊り)。それまで神経症的な動きを見せていたジュリエットたちは、紛れもなく1人の女性として愛の交歓を見せた。

幕切れで男女は死に、ロミオはアンドロイド看護師と奈落に落ちる。対立も愛も、死すら彼ら患者の妄想か-と思わせる社会病理として、金森は作品を演劇より劇的に捉え直した。14日、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場。(飯塚友子)

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