中国で30年にわたって続いた「一人っ子政策」の影響で、2030年の一人っ子たちは老いゆく2人の両親と4人の祖父母を養う責任を負うことになる。そのとき、消費を楽しむ世代が自由に金を使えなくなって消費の傾向が激変し、世界経済に大きな影響を及ぼす可能性がある--。香港出身の著名実業家であるエイドリアン・チェンによる『WIRED』UK版への寄稿。
TEXT BY ADRIAN CHENG
TRANSLATION BY CHISEI UMEDA/GALILEO
WIRED(UK)
30年にわたる「一人っ子政策」は、中国の人口構成を砂時計のようなかたちに変えつつある。いちばん上が高齢者、いちばん下が子どもの層だとすると、その真ん中がくびれているというかたちだ。
一人っ子政策は2015年末から、段階的な撤廃が始まった。だが、この政策が生み出した問題は、近い将来の中国経済に大きな影響を及ぼすとみられている。都市部の一人っ子たちの肩には、老いていく2人の両親と4人の祖父母を養う責任がのしかかることになるからだ。
この「4-2-1問題」は、「BAT世代」の未来である。つまり、中国のテック巨大企業である百度(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)の影響力が強まっていくなかで育った世代のことだ。