那須雪崩、遺族弁護団が損害賠償の具体額提示 栃木県教委に再発防止策申し入れ

昨年3月の那須町の雪崩事故の遺族弁護団からの申し立てが行われた=28日、宇都宮市(根本和哉撮影)
昨年3月の那須町の雪崩事故の遺族弁護団からの申し立てが行われた=28日、宇都宮市(根本和哉撮影)

 昨年3月、栃木県立大田原高校の生徒と教諭の計8人が死亡した同県那須町の雪崩事故を受け、生徒と教諭の遺族で結成された弁護団が28日、県教育委員会に再発防止策を申し入れた。また、初めて損害賠償請求の具体額を提示した。金額は公表されていない。県教委は検討の上、金額的に折り合いがつけば、賠償請求に応じる姿勢を示した。

 7月に結成された弁護団には6人の遺族が参加している。この日は、県教委が策定を進める再発防止策について、再発防止策を検討する登山計画審査会が県教委の内部組織である点や、再発防止策を徹底させる具体策が示されていない点を指摘し、改善を申し入れた。

 また、今月7日の審査会で示された再発防止策のガイドライン素案については、積雪のない低山に限定して冬山登山を認めるというあいまいな表現を用いている点は「抜け道となる可能性がある」と懸念を示した。

 県教委は、外部の専門家も含む審査会で詳細に再発防止策を検討していると説明。ガイドラインが決定次第、現場への徹底を図るとした。

 申し入れ後、弁護団長の原田敬三弁護士は「県教委は通達事項を現場に伝えるだけで終わらそうとしている。損害賠償だけでなく、納得のいく再発防止策を求める」と訴えた。

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