首脳会談でインド太平洋の日米協力一致、中国牽制へ

 安倍晋三首相とトランプ米大統領はニューヨークで行った26日午後(日本時間27日午前)の会談で、両国が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」のもと、日米が太平洋島嶼(とうしょ)国や東南・南アジアで民間部門を活用した事業協力を強化することで一致した。中国の海洋進出や経済支援を通じた覇権拡大を牽制(けんせい)する日米の具体的な動きとして注目される。

 日米協力プロジェクトの対象は海洋資源保護や海洋安全保障、質の高いインフラなど。具体的には、海洋資源保護のため、日本が違法・無報告・無規制漁業対策に関する技術研修を実施し、米国が専門家を派遣する事業をマーシャル諸島やミクロネシア連邦、パラオで行う。パラオでは、日本が廃棄物処理場を設置し、米国が環境教育で技術協力を提供する計画なども調整中だ。台湾と外交関係を持つパラオとマーシャル諸島は、中国の激しい外交攻勢にさらされている。

 第3国協力は、支援国同士が競合する分野も多いことから実現は容易ではないという。だが、政府関係者は今回の取り組みについて「供与と信頼醸成の形でうまく棲み分けができた」と評価する。

 米国は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じた太平洋諸国への影響力拡大を懸念し、島嶼国への関与を強めている。外交筋よると、首相とトランプ氏は23日の夕食会で、かなりの時間を割いて中国について協議した。日米共同声明では、中国を念頭に、知的財産の収奪や強制的技術移転などの不公正な貿易慣行に対処するための日米欧協力を明記した。(ニューヨーク 田北真樹子)

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