朝鮮学校への高校授業料無償化制度の適用除外をめぐっては、広島、大阪、東京、名古屋の各地裁と福岡地裁小倉支部の全国5カ所で同種訴訟が起こされた。
このうち広島と大阪では、朝鮮学校を運営する学校法人が原告となり、(1)朝鮮学校を無償化の適用対象から外した処分の取り消し(2)無償化対象とする処分の義務付け-を請求。東京などは卒業生らが原告となり国家賠償を求めた。
初めての1審判決だった平成29年7月の広島地裁判決は、学校運営に対する北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響力を認定し、「無償化資金が授業料に充てられない懸念がある」と言及。国の判断に「裁量権の逸脱、乱用は認められない」として原告側の請求を全面的に退けた。
だが、その9日後に言い渡された大阪地裁判決は、影響力を一定認めつつも「不当な支配」とは評価できないと指摘。無償化の対象外とした国の処分は「裁量権の逸脱、乱用にあたる」として取り消しを命じ、判断が分かれた。
しかし、その後の東京地裁判決(29年9月)、名古屋地裁判決(30年4月)はいずれも原告側の請求を退けた。
原告側が控訴した東京訴訟は東京高裁で10月30日に、今月結審した福岡地裁小倉支部での訴訟は来年3月14日に、それぞれ判決が予定されている。