【ニューヨーク=黒瀬悦成】米国防総省は26日、核兵器搭載可能な米空軍のB52戦略爆撃機が今週、中国の軍事拠点化が進む南シナ海や、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり日中が対立する東シナ海の上空を飛行したことを明らかにした。中国の覇権的海洋進出に対抗する狙いが込められているのは確実だ。
国防総省によると、B52が東シナ海上空を飛行したのは25日夜。米CNNテレビの報道では、航空自衛隊の戦闘機の先導で尖閣諸島付近や、中国が東シナ海に設定した防空識別圏内を飛行したとされる。
同省は飛行に関し、「地域の同盟・パートナー諸国との即応能力や相互運用能力の向上のための通常任務だ」と指摘した上で、「米軍は国際法で認められた飛行や航海、作戦行動を自身が選ぶ時間と場所で展開していく」と強調した。
南シナ海上空の飛行に関しては「今週初めに行われた」とし、具体的な日付は明らかにしなかった。
マティス米国防長官は26日、今回の飛行について「正常を外れた活動では一切ない」と強調した上で「米中の軍同士は戦略的関係にあり、両国ともその必要性を認識している」と述べ、中国が関係を悪化させるような対抗措置をとってくる可能性は低いとの考えを示した。