東京大学は26日、平成32年度からの「大学入学共通テスト」の英語で導入される民間検定試験について、初年度の入試では受験生に成績提出を義務付けないとの基本方針を公表した。「公平・公正と実施の観点から、受験生が安心して受けられる体制が整っているとはいえない」ことが理由。文部科学省や大学入試センターの入試制度全体への責任体制に見通しが立ったとして出願要件の選択肢の一つに採用するが、高校の調査書などで一定の英語力が証明されれば出願可能とした。
さらに、事故や病気など何らかの事情がある場合は、受験生が理由書を提出すれば出願を認める。3つの資料のいずれかの提出を求めるが、合否判定には用いないとしている。東大が民間検定試験の成績提出を必須としないと決めたことで、他大学に影響を与える可能性がある。
東大によると、受験生に求める具体的な英語力の基準は、語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」で下から2番目の「A2」(英検で準2~2級相当のスコア)レベル以上。高校での成績評価で同等の英語力があるとみなされれば、民間検定試験の成績がなくても出願資格を認める。
東大は3月、民間検定試験を合否判定に使わない意向を表明したが、4月末には一転して活用の方向と発表。しかし、その後も家計や居住地域で受験機会が左右されるとの懸念が指摘されるなど、意見が統一できなかった。
共通テストの英語は最初の4年間、従来型のマークシート式試験と、「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る民間検定試験が併存。大学入試センターは今年3月、英検(新方式)など7団体の8種類を認定した。