世界文化賞・歴代の巨匠

シタール奏者、ラヴィ・シャンカールさん (4)愛と平和…ロックフェスの実態に絶望

第9回世界文化賞の受賞者たちと談笑するラヴィ・シャンカールさん(右から2人目)
第9回世界文化賞の受賞者たちと談笑するラヴィ・シャンカールさん(右から2人目)

 《シャンカールさんは、1967年の「モンタレー・ポップ・フェスティバル」、69年の「ウッドストック・フェスティバル」という、歴史的なロックフェスティバルに出演した。ヒッピー文化の隆盛と歩みをともにしたこれらのイベントは、60年代後半という時代を象徴するものだった》

 シャンカール あの時代、妙な状況下に私はいました。それまでの私は、インド音楽を西洋に伝える伝道師でした。ところが、ジョージ(・ハリスン)が私の弟子になってからの私は、ポップスターのように扱われ始めました。

 --不本意だったと

 シャンカール 66年以後、ヒッピーが登場し、若者の間に薬物が蔓延(まんえん)し、インド音楽はそうした時代のBGMのように扱われたのです。私にとっては、不幸な時期でした。

 --なぜ、ロックフェスティバルに参加したのですか?

 シャンカール 契約の問題です。当時の私のマネジャーが決めたことです。

 --なるほど

 シャンカール モンタレーで見たジミ・ヘンドリックスは素晴らしい演奏を聴かせましたが、彼がギターを使ってひわいなしぐさをしたり、ザ・フーがステージでドラムを破壊するのを目の当たりにして、これはひどいと思いました。楽器は、私にすればすごく神聖なものなのです。それに私にすれば、ああしたやかましいロックは、評価しがたいものでした。あのすさまじい破壊力は、聴いていて落ちつかなくなるのです。

 《ジミ・ヘンドリックスは66年にデビューした革新的なギタリストで、サイケデリックブームの中心的な存在。モンタレー・ポップ・フェスティバル出演で一躍注目を浴びた。70年死去。フーは64年に結成されたイギリスのロックバンド。モンタレーで楽器を破壊する凶暴なステージを披露し、アメリカで注目を浴びた。82年に解散》

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