そしてアベノミクスが本格始動した25年度に消費は勢いを取り戻したように見えたが、消費税増税がそれをぶち壊した。安倍首相は10%への税率引き上げを2度延期する決断を下したが、重なる失敗から学ばない財務官僚、有名大学教授そして大手全国紙論説委員たちに安倍首相は包囲されている。
増税による税収の一部を教育無償化財源とするという首相の考えは方便同然ではないか。消費税増税によって中低所得層を最も痛めつけておいて、子弟の教育費負担を軽減するというなら、増税せずに景気を拡大させ、それによる税収増を無償化に充当するのが合理的というものだ。
増税が招き寄せるデフレ圧力は金融経済構造をいびつにする。利益剰余金は20年間で300兆円以上も増え、名目で15兆円余りしか拡大しなかった国内総生産(GDP)とは対照的だ。日銀は超低金利政策を通しており、アベノミクス開始後は異次元緩和政策、さらにマイナス金利にも踏み込んだが、デフレ圧力は去らず、2%のインフレ目標達成のメドはさっぱり立たない。銀行は国内融資より中国など海外向けに血道を上げ、リーマン後の10年間で150兆円も対外融資を増やした。外貨を見せ金にして勢力圏拡張を狙う「一帯一路」の中国は同じ150兆円を国際金融市場から借り入れできた。