【新聞に喝!】欧米に比べサイバー報道の影が薄いのはなぜか 神戸大学大学院法学研究科教授・簑原俊洋(1/2ページ) - 産経ニュース

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新聞に喝!

欧米に比べサイバー報道の影が薄いのはなぜか 神戸大学大学院法学研究科教授・簑原俊洋

  海外出張での楽しみの一つにしているのが、現地の新聞を読むことだ。残念ながら英語の新聞という制約はあるものの、幸いどこの国でも英字紙はたいてい手に入る。それらに目を通すと、中国やロシアによる官公庁や企業に対するサイバー攻撃に関する記事が多いことに気づかされる。その一方、日本では自国に対するサイバー攻撃に関する記事が少ないなとふと不思議に思った。

 これは日本のサイバー防衛が完璧だからなのか。いや、そんなことではなさそうだ。なぜなら今年の防衛白書が中国などのサイバー分野における能力向上に警戒感を示し、年内に策定する新たな防衛大綱ではサイバー空間での防衛強化が焦点になっている。

 実際は、防衛能力は十分ではなく、相手の攻撃頻度が増し、より巧みになっている状況に対応するための強化というのが真相ではなかろうか。

 サイバー関連の報道についていえば、偽サイトに誘導して個人情報を盗む「フィッシング」など犯罪行為に絡む記事はよく見かけるが、日本に対するどこかの国家によるスパイ行為や世論誘導工作といった形でのサイバー攻撃についてはほとんど聞かない。

 また、東シナ海の日中中間線付近で中国が一方的に進めるガス田開発の状況、日本の排他的経済水域(EEZ)での海底調査などについて産経は熱心に追っているが、新聞全般での扱いはまだまだ小さい。たとえば、ほぼ常態化している沖縄県・尖閣諸島の接続水域への中国公船による航行は、数行のお決まり文句の記事にいつも収まっている。これでは日本国民がサイバー空間や日本近海において何が起きているのかを把握することは容易ではない。日本と欧米の新聞を比較すれば、情報の質と量の違いは歴然である。