「俊頼髄脳」の翻刻本出版 冷泉家23代当主・為臣氏の遺稿が76年ぶりに日の目

完成した本を手に、出版を発表する冷泉為人氏(中央)=京都市上京区
完成した本を手に、出版を発表する冷泉為人氏(中央)=京都市上京区

 藤原俊成、定家以来の和歌の家として知られる冷泉家の第23代当主で、昭和19年に中国で戦死した故・為臣(ためおみ)氏が残した藤原定家写本「俊頼髄脳(としよりずいのう)」の翻刻本が完成した。公益財団法人冷泉家時雨亭(しぐれてい)文庫(京都市上京区)が発表した。為臣氏が翻刻を手がけて76年。25代当主の為人(ためひと)氏は「今の若者に文学の大切さを伝えることができたら」と話している。

 「俊頼髄脳」は、平安時代後期の貴族・歌人の源俊頼が関白・藤原忠実の依頼で、後の鳥羽天皇の皇后・泰子のために書いた歌の手引書。歌を作る上での心得や有名な歌を作った人たちの背景などが物語形式で書かれている。

 原本が存在していないため、これまでは古典文学全集や国会図書館所蔵の江戸中期の写本などで読まれてきた。為臣氏の原稿から別の写本もあることがわかっていたものの、発見できずにいた。

 ところが平成17年に冷泉家から為臣氏の翻刻の元本が見つかり調査の結果、定家の写本だったことが確認された。その後に国重文に指定された。

 翻訳した為臣氏については昭和17年、31歳で所蔵から翻刻した「時雨亭文庫(一)」を出版し、第2弾も出版予定だったが、2年後の8月31日に中国で戦死したため、出版は途切れてしまった。

 しかし、為臣氏の遺稿ともいえる「俊頼髄脳」の翻訳が第2弾の原稿とみてきた同財団は平成27年、古典・和歌研究の権威、鈴木徳男相愛大教授に編集などを依頼。為臣氏の74回目の命日にあたる今年の8月31日に「時雨亭文庫二 俊頼髄脳」を完成させた。和泉書院から出版された。

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