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今年6月、広報官としての功績が認められ、陸上幕僚長から3度目の優秀広報官表彰を受けた。「幕僚長は『3回も来るのは初めてだ』と。広報官冥利(みょうり)に尽きる」。笑みがこぼれた。
平成10~20年、21~30年の通算18年間、隊員の募集業務に従事し、629人を入隊させた。「カリスマ広報官」は、28年の定年退官後も再任用され、第一線で活躍を続ける。
「事務所を出たら即現場。若者を見かけると、街中の温泉(銭湯)やコンビニでも声をかける」
鹿児島の農家の三男に生まれた。父は旧海軍の軍人だった。
農家の跡継ぎとして農業高校へ進んだが、「昔はけんかっ早くて。父に『自衛隊で鍛えてこい』といわれたのが入隊のきっかけ。高校時代、学校から帰ると、農作業手伝いでこき使われており、入隊後の訓練の方が楽だった」
優秀な人材を確保する広報官の仕事は、自衛隊の精強さを支える。勧誘だけでなく、入隊後の支援も欠かさない。「辞めたい」。新人隊員から相談を受けると、他の隊員とも連携して問題解決に努める。「私によって自衛隊に引き込まれた『被害者の会』を年2回開いている。そこで隊員の元気な顔を見るのが、何よりの楽しみ」と話す。
特技は水泳。水泳上級指導員の資格も持ち、約30年間、水泳指導のボランティアを続ける。水難・交通事故現場での救助活動も5回を数える。(谷田智恒、写真も)