「金魚電話ボックス」巡り提訴 金魚の街、奈良・大和郡山の商店街に「著作権侵害」と美術家

金魚が泳ぐ電話ボックス=8月、奈良県大和郡山市(山田哲司撮影)
金魚が泳ぐ電話ボックス=8月、奈良県大和郡山市(山田哲司撮影)

 水で満たされた電話ボックスに数十匹の金魚が泳ぐオブジェ「金魚電話ボックス」は自身の作品に酷似しており、著作権を侵害されたとして、福島県いわき市の現代美術作家、山本伸樹さん(62)が19日、オブジェを設置した奈良県大和郡山市の柳町商店街組合を相手取り、330万円の損害賠償などを求める訴えを奈良地裁に起こした。

 訴状などによると、山本さんは平成10年、電話ボックスに金魚を泳がせた作品「メッセージ」を発表し全国各地で展示してきた。一方、金魚電話ボックスは26年、「金魚の街」として知られる大和郡山市の同組合が設置。京都造形芸術大(京都市左京区)の学生グループが23年、「テレ金」というタイトルで発表した作品を譲り受けたという。

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 山本さんは金魚電話ボックスの存在を知った25年以降、同組合に繰り返し抗議し、著作権を認めるよう求めていた。組合側は著作権侵害はないとする一方、今年4月、トラブルを避けるためオブジェを撤去した。

 山本さんは19日、奈良市内で記者会見し「撤去を望んでいたわけではなく、作品の著作権を認めてもらうことが目的。著作権を侵害され、苦悩している美術家は少なくない」と主張。同組合の宮沢秀典理事長は「訴状が届いていないので、コメントできない」としている。

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