海賊版サイトの接続遮断、結論出ず結論先送り 政府有識者会議

 漫画などを無料で読ませる海賊版サイトの対策を検討する政府の有識者会議は19日、中間報告書の修正案を議論した。前回会合で示された素案は、強制的に閲覧を止める接続遮断(ブロッキング)の「条件付き法制化」を前提とした記述が多く、異論が続出。賛否両論の併記を中心にした記述に事務局が見直した上で、次回会合に結論を先送りすることを決めた。

 海賊版サイトの対策をめぐっては、接続遮断に踏み切る場合、インターネット事業者が全ての利用者のアクセス先を検知する作業が必要となる。政府は4月、接続遮断の法制化の方針を打ち出した。これに対し、通信業界や消費者団体の委員らは「監視の強化」を不安視。憲法学者や弁護士からも、憲法が定める「通信の秘密」の侵害に対する懸念が指摘されていた。

 今回の会合でも、「修正案でも議論の『両論併記』がなされていない」「海賊版の閲覧防止という目的は、『通信の秘密』の制約を上回るほど重大なのか」などの意見が委員から相次ぎ、事務局は結論を先送りすることを決めた。

 次回会合の開催時期は未定。事務局は「なるべく早期に開催したい」としている。

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