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特許庁は、スタートアップ企業(創業間もないベンチャー企業)を対象とした初の支援事業を開始した。革新的な技術やアイデアを基に創業する企業に対し、知的財産権戦略を軸とした複数分野の専門家を含む顧問を一定期間派遣し、各社に最適な事業戦略を構築することで成長を促す。初年度の募集には全国から59社が応募し、書類審査、プレゼンテーションを経て、宇宙、再生医療、量子コンピューター、素材、通信など多様な業種の10社を選出した。
革新的な技術やアイデアを事業として成長させるためには、特許を出願して権利化したり、企業内に情報をとどめてノウハウ化したりするなどして模倣を防ぐ必要がある。さらに、独自開発した技術の一部が他企業の特許を侵害していないかも確認しなければならない。ただ、多くのスタートアップ企業は、人材不足などからしっかりした知財戦略を構築できていないという。
このため、特許庁は選出した企業に対し、経営アドバイスや資金などの支援をする「アクセラレーター」のほか、コンサルタントや弁理士、弁護士といった知財の専門家がチームを結成して知財戦略構築の支援にあたる。派遣期間は来年2月ごろまでを予定している。
採択企業となった超小型人工衛星の設計開発を手掛けるアクセルスペース(東京都中央区)は、衛星画像を活用したデータ解析サービスを第2の事業の柱として成長させていく方針だ。中村友哉社長は「データの権利関係といった知財面で支援してもらいたい」と期待する。