「弱い自分に立ち向かって」元プロボクシングチャンピオンの野上真司さん、堺のジムで熱血指導

 ■引退後の引きこもり経験生かし不登校などにも親身に 

 世界ボクシング機構(WBO)アジア太平洋スーパーフェザー級元王者、野上真司さん(43)が堺市のジムでボクシングの指導を始めた。引退後に引きこもりになった経験から、精神的に弱っている人の立場を考えるようになったという野上さん。「弱い自分に立ち向かい、目標にチャレンジする大切さを教えたい」と話し、いじめなどに苦しむ子供たちを受け入れている。

 「ジャブジャブ、ワンツーフック」「よけながらもっと速く!」

 5月にオープンした堺市堺区の「DIAMANTE(ディアマンテ) BOXING(ボクシング) GYM(ジム)」で、グローブがミットを鋭く打つ音が響く。現在、ジムに通う練習生は30人あまり。目的は技術の向上からダイエットまでさまざまだが、野上さんは「ボクシングを通じて自信をつけてほしい」と話す。

 プロデビューから約4年後の平成14年にチャンピオンの座に輝くも、32歳で引退してからは選手生活とのギャップに苦しんだ。バーを始めたが、金銭的な不安に悩まされた上、慣れない接客業からパニック障害とうつを発症。店を閉め、数カ月は引きこもる日が続いた。

 そんなとき、外へ連れ出してくれたのがボクシングだった。知人に誘われ、トレーナーに転身。「迷ったけど、求められるということがありがたかった」。病は完治したわけではなく、通院は続いている。パニックに駆られ、夜中に突然外へ走り出してしまうこともあったといい、いつ症状が起こるかわからない不安は常につきまとう。

 それでも、「自分と同じように苦しむ人たちの力になれたら」と願い、新たにオープンしたジムの看板には「不登校やいじめの相談に乗ります」と掲げている。ジムに通う会社員の男性(24)は学生時代にうつに苦しんだことがあるといい、「似たような経験のある人が近くにいると、安心します」と話す。

 野上さんは今後、地元の企業や学校などで自身の経験を講演することも検討。「ボクシングを通じても、病にかかった経験からも、いろんな人に支えられていることを実感した。困っている人を助けることが本当の強さだと思う」と話している。

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