【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権が大規模な対中制裁発動を表明した17日、米議会からは中国に知的財産権侵害の是正を迫るトランプ大統領を支持する声が出た。一方で、米ハイテク業界は関税発動による消費者への悪影響を懸念。米政府は年末商戦を控え、人気の電機製品を制裁対象から除外するといった対応を余儀なくされた。
米下院で通商政策を管轄する歳入委員会のブレイディ委員長(共和党)は17日の声明で、「中国の責任を追及すべきだとの考え方で議会と大統領の足並みは一致している」と指摘した。
ブレイディ氏は、米企業への技術移転の強要や、知的財産権の窃取などへの対応を中国に求めるトランプ政権の姿勢に賛同。一方で、中国の習近平国家主席とトランプ氏が、首脳会談を通じて対立解消の道を探るべきだとの認識を示した。
米通商代表部(USTR)は今回、2千億ドル(約22兆円)相当の中国製品への制裁で約300品目を対象品リストから削除した。米ブルームバーグ通信によると、アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」やワイヤレスイヤホン「エアポッド」が除外されたといい、電機製品の一大商戦期となる年末に向け、人気商品を外す配慮をみせた。
ただ、米IT業界団体の情報技術産業協議会(ITI)は、「無謀な決定だ」と関税発動を批判する声明を発表。産業界では、企業に長期的な打撃を及ぼす懸念が根強いことをうかがわせている。