魚を寝かせて熟成させる食文化が残る美浜町は、飲食店運営会社「ファンファンクション」(東京)と、商標を取得した地元産の熟成魚の使用に関する契約を結んだ。同社は3年前に都内でオープンした居酒屋で熟成魚を提供しており、今後は小売りや卸売りなども展開していくという。
同社は、全国の市町村と連携したご当地居酒屋を展開。熟成魚が都内の居酒屋で評判を集めたことから昨年4月、同町と県の補助を受けて同町日向に同社の子会社「ふくい食ブランド推進」が運営する熟成魚の生産拠点となる加工場を完成させた。
加工場ではブリやタイなど水揚げされた魚の内臓を素早く取り除く下処理ができ、低温で一定の湿度に保つ「熟成庫」などを備えている。同町と県立大などの研究では、魚を熟成させることでうま味の成分であるアミノ酸が増えることが確認できたという。
同町は4~6月、「美浜熟成魚」と、塩をなじませたブリを熟成させ同町日向地区の正月に大漁を祈願して食べる「塩熟ぶり」を商標として取得。使用を認める契約を結ぶことで、同社は熟成魚の小売りや卸売りなど販路拡大に取り組んでいくという。
同町役場で調印式があり、同社の合掌智宏社長(41)は「熟成魚と塩熟ぶりは美浜を代表する産品になると考えていた。町と一緒にブランド化に取り組みたい」と強調。山口治太郎町長は「熟成魚を広く販売できれば、町内の漁業者の担い手の確保も期待できる」と話した。