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音楽をスマートフォンや「iPod」で聴くことが常識になるよりずっと前、ぼくらが外で音楽を楽しむ手段は「ウォークマン」や「ディスクマン」だった。メールや着信に邪魔されない、本当にピュアな音楽体験--。そんな30年前の音楽プレイヤーを振り返る。
ソニーの「ウォークマン」ブランドのポータブルCDプレイヤー。クルマの車内に取り付けて使えるように、このモデルには音飛び防止機能が付いている。PHOTOGRAPH BY DAVID BRANDON GEETING
1998年、ポータブル音楽デヴァイスはひとつの時代の終わりを迎えようとしていた。最初のMP3プレイヤーは、まだ開発段階にあった。まもなく「iPod」が登場し、付属品の白いイヤホンが、新しい世紀を象徴するものになる。
しかし当時、衰退期を迎える直前の「ウォークマン」や、それを高度化した姉妹商品の「ディスクマン」は人々の必需品だった。ソニーは98年時点で、ウォークマンを1億7%2C500万台以上、ディスクマンを約5%2C000万台、世界で販売していた。この数字には、他社が製造した無数のコピー商品は含まれていない。
ウォークマンとディスクマンは、通勤やジョギング、あるいは後部座席の子どもたちにとって欠かせないお供だった。あらゆるところで、エイス・オブ・ベイス、アウトキャスト、ニュートラル・ミルク・ホテルなどの音楽を人々の耳に届けていたのだ。