憧れだった警察官から老舗旅館の若女将に転身した女性が、由緒ある温泉街の灯を守ろうと奮闘している。島根県江津市の有福(ありふく)温泉で「ありふくよしだや」の若女将を務める佐々木文(あや)さん(31)。畑違いの仕事に戸惑う毎日だが、SNSなども駆使して地元の魅力を発信。持ち前のバイタリティーと笑顔で、低迷する温泉街を盛り上げている。
有福温泉は651(白雉2)年の発見と伝えられ、古くは「福有りの里」と呼ばれた歴史ある湯治場。かつては20軒近い温泉旅館が立ち並び、平成12年には14万人以上が訪れたが、現在は4軒が残るのみ。昨年の観光客数は5万人弱だった。
責任ある仕事
よしだやは、江戸時代から約250年間続く老舗旅館。佐々木さんはその長女として誕生したがスポーツ好きで、体育教師を目指して日本女子体育大(東京都世田谷区)に進学。ところが1年の夏、住んでいた寮に男が侵入。佐々木さんが1人で眠っていた部屋に入り込んだが佐々木さんには気づかず退出し後日、警察に逮捕された。