米ブルームバーグ通信など複数の米メディアは14日、トランプ米大統領が中国からの2千億ドル(約22兆円)相当の輸入品に高関税を課す制裁の実施を、13日に開いた会議で側近に指示したと報じた。ただ、政府内で最終的な制裁品リストの策定作業が進められているため、具体的な発動日は決まらなかったという。
同通信によると、トランプ氏は13日、対中制裁に関する会議を開催。参加者には、通商政策に関与するムニューシン財務長官や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ロス商務長官が含まれ、トランプ氏はその場で、制裁を計画通り進めるよう指示した。
USTRは7月、関税対象となる約6千品目のリストの原案を発表。産業界からの意見公募を今月6日に締め切り、最終的な品目リストの確定作業を進めている。企業からは、制裁への懸念や適用除外を求める声が続出しており、産業界の見解を反映させたリスト策定の進捗に応じ、制裁発動の正式発表が先延ばしにされているという。
一方、米中両政府は閣僚級協議の再開を調整している。会議でトランプ氏は、関税発動が閣僚協議の行方に悪影響を及ぼす可能性について問われた際、懸念していないと返答した。
トランプ氏は13日、ツイッターで「米国は中国と合意すべきだとの圧力を感じていない」と述べた上で、「合意の圧力にさらされているのは中国の方だ」と強調していた。
米政権は知的財産権侵害を理由に、すでに計500億ドル相当の輸入品に25%の追加関税を課す制裁を発動。トランプ氏は今回の2千億ドル相当への制裁措置に加え、「さらに2670億ドル分を上乗せすることも直ちにできる」とも指摘し、中国への強硬姿勢を一段と強めている。(ワシントン 塩原永久)