同店を管轄する自治体の食品衛生課の担当者は「本当はしっかり焼いたハンバーグを提供してほしい。ただ、ハンバーグは生で提供されても、ユッケのように生食用ではなく、また卓上で焼くスタイルは焼き肉も同じで、禁止できないのが現状」と打ち明ける。
◆焼き肉も注意
牛肉は表面が汚染されていても、肉の内部に菌はいないので、1枚肉のステーキや焼き肉は表面を加熱すれば安全に食べられる。
レアでハンバーグを提供する店の中には、ブロック肉の表面を加熱した後に挽肉にし、ハンバーグにしている店もある。この場合は、ハンバーグの内部が生焼けでも、ステーキのレアと同じで問題ない。しかし、一般的に挽肉は生肉の状態で挽き、表面も内部も混ぜこぜになるから、中もしっかり加熱した方がよい。
唐木理事長は「O157による食中毒は命にかかわるだけに、生肉の調理や扱いには十分な注意が必要」とした上で、「焼き肉は薄い肉なのですぐに中まで火が通るが、ハンバーグは厚く、中まで火が通るのに時間がかかる。子供が肉を食べるときは、火が通ったかを保護者がしっかり確認してほしい」と話している。
◇
【用語解説】腸管出血性大腸菌 牛など動物の腸管内にいる細菌。O157の他、O111、O26などがあり、汚染された食物を食べることで感染し食中毒を引き起こす。多くの場合、3~5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう下痢などの症状がある。乳幼児や高齢者では脳症などの重い合併症を発症する場合もある。平成23年のユッケによる食中毒事件をきっかけに、同年10月から飲食店での牛の生肉提供に食品衛生法による規格基準が設けられた。