アート 美

アムステルダム国立美術館 黄金の輝き詰まった空間

 生前高い評価を受けていたフェルメールの作品は「1点およそ300~400ギルダー、平均的な職人の年収2年分ほどではないか」(ルーロフス氏)という。1670年代になるとフランス軍の侵攻などでオランダ経済は不況に陥り、美術市場も打撃を受けた。子だくさんのフェルメールが43歳の若さで没した後、一家はパン屋への借金を絵で支払ったとされる。

 再び「名誉の間」に戻ろう。フェルメールが20代後半に描いた傑作「牛乳を注ぐ女」は同館でも格別の人気を誇り、職員にとっても思い入れの強い作品という。「私たちは親愛を込めて彼女って呼んでいるんですよ」とルーロフス氏。

 飾り気のない日常を描く写実性、表象に隠された多層的な意味、巧みな色彩構成、光と影のコントラスト…。縦約45センチ、横41センチの小さな画面に「オランダ美術のエッセンスが詰まっている」という。

 10月5日から上野の森美術館(東京)で始まる「フェルメール展」に出品するため、彼女はもうすぐアムステルダムから旅立つ予定だ。(黒沢綾子)