首都圏、東海・中部、近畿の3大都市圏では、地球温暖化に伴い高潮による水害の危険が増大し、直下型地震の発生が予測されている。防災研究者は「災害に脆弱(ぜいじゃく)な大都市の特徴を知り、被害を最小限にする取り組みを進めるべきだ」と呼びかけている。
「大都市の災害は国家運営に影響することを認識するべきだ」と指摘するのは河田恵昭(かわた よしあき)・関西大特別任命教授(巨大災害)。
6月に発生した大阪北部地震は最大震度は6弱で、大地震でなかったが、鉄道網の影響は関西全域、中国地方まで拡大。経済損失は震度7を2回記録した平成28年の熊本地震の1・5~2倍に及ぶとされる。
同地震を分析した遠田晋次(とおだ しんじ)・東北大教授(地震地質学)は「震源に近い上町断層帯などにも影響を与えた可能性がある」と警戒を促す。海と陸のプレートがぶつかるストレスが解放されるときに起こる南海トラフ地震を前に、内陸の地下でストレスが高まっており、近畿で直下型地震が起こりやすいとされていたが、6月の地震でその可能性がさらに高まったという。
また、遠田教授は「東日本大震災の影響で首都圏の地震発生数が高止まりしており、震災前よりも首都直下地震が発生しやすい状況にあるとみている」。
3大都市圏における地震被害の予測は、国が6月に公表した「今後30年で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」でも高い確率が示されている。