昨年3月、県立大田原高校の生徒と教諭の計8人が死亡した那須町の雪崩事故を受け、登山計画審査会が7日、県庁で開かれ、再発防止のための登山計画ガイドラインの素案が示された。積雪のある冬山登山を禁止とし、雪上での歩行訓練の実施も認めないなど、事故を受けて厳しい内容となった。一方、標高が低く、積雪のない登山はこれまで通り冬期でも実施を認める。(楠城泰介)
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冬山登山については、積雪期は登頂を目指す登山でなくても、凍結や吹雪、転落などの可能性があることから、実施を認めない。これまで認めてきた積雪のない低山の登山は、冬の間でも実施を認めるが、降雪があった場合は中止することとした。
雪上活動訓練については、「雪上での基礎的技術の習得や訓練は安全登山のためにも必要で、将来的に実施を認める余地を残しても良いのではないか」などの意見もあったが、高度な技術を持つ指導者の確保が困難なことなどから、学校教育活動として取り組むことは難しいと判断した。ただ、生徒が民間の登山団体などに参加して個人的に行うことは認めた。
また、引率者のうち1人は、登山指導の経験が5年以上あり、指導員資格を持つか、県が指定した研修などに参加した人を必須とし、生徒10人につき1人以上置くことを要件とした。荒天や不測の事態による計画の変更については、引率者が学校管理者と相談した上で決めるとした。
同審査会委員長を務める県山岳・スポーツクライミング連盟の石沢好文会長は「雪崩事故を受け、現場の教員は雪上訓練にナーバスになっており、現状で認めることはできない。ガイドラインにそって登山計画を実施すれば安全という完璧なものを目指したい」と述べた。