高級車に広がるハイブリッドシステム 環境意識高い富裕層開拓へ

高性能モデル「AMG」を紹介するメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長=6日、東京都港区(臼井慎太郎撮影)
高性能モデル「AMG」を紹介するメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長=6日、東京都港区(臼井慎太郎撮影)

 国内高級車市場でモーターでエンジン走行を補助する「マイルドハイブリッド車(HV)」が広がり始めた。メルセデス・ベンツ日本(東京都品川区)は6日、高性能モデル「AMG」として初めてマイルドHVの注文受け付けを開始。アウディジャパン(同品川区)も旗艦セダンに設定した。走りと環境性能にこだわる富裕層の開拓につなげる考えだ。

 メルセデス・ベンツ日本が6日発表した「メルセデスAMG53シリーズ」は排気量3リットルの新型エンジンを搭載。低速時や加速時にモーターが補助し、滑らかで力強い走りが楽しめる。希望小売価格はセダンが1202万円でクーペなども順次投入する。同社は3月、最上級セダン「Sクラス」でマイルドHVを発売し、車種を増やしてきた。上野金太郎社長は「走りの力強さと快適性、環境性能などのすべてをハイレベルで両立させた」と強調する。

 アウディジャパンの鼻息も荒い。6日発売の新型4ドアクーペ「A7スポーツバック」に続いて、来月15日に投入する旗艦セダン「A8」にもマイルドHVを設定。同社マーケティング本部は「顧客層は力強い走りを求める層とそれ以外も重視する層に2極化している」とする。

 両社の戦略は欧州を中心に広がる環境規制強化への対応の一環だが、トヨタ自動車が高級車ブランド「レクサス」でHVを武器に開拓する国内市場の商機を取り込みたいとの思惑もあるようだ。トヨタは秋以降、レクサスの中型セダンと小型スポーツ用多目的車(SUV)を発売するという。

 調査会社の富士経済によると、マイルドHVの世界市場は平成30年に3万5千台に達し、33年には約8倍の25万台に拡大する見通し。国内外メーカーが入り乱れた競争が激化しそうだ。(臼井慎太郎)

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