九州「正論」懇話会講演会 青山繁晴参院議員、自衛隊改憲で万全の対応を 福岡

講演する青山繁晴参院議員(仲道裕司撮影)
講演する青山繁晴参院議員(仲道裕司撮影)

 5日、ホテルオークラ福岡(福岡市博多区)で開かれた九州「正論」懇話会の第138回講演会で、参院議員の青山繁晴氏は「現憲法では、非常時に自衛隊の活動が制限される」と述べ、憲法改正の必要性を訴えた。講演の主な内容は次の通り。

 国の最大の務めは、国民を守ることです。しかし、現在の憲法は、国民を守る手段を書いて並べた上で、その全てを否定している。

 9条1項は、武力による威嚇又は武力の行使を永久に放棄するとしています。世界の国は、わが国を侵すものがあればひどい目にあうぞと威嚇し、戦争を抑止している。憲法は、そんな威嚇すら否定している。

 2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」、さらに「国の交戦権は、これを認めない」とあります。相手が国家なら、何をやられても日本はやり返せませんということです。

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 この憲法の記述は、北朝鮮による拉致問題にもつながっている。

 2002(平成14)年9月17日、小泉純一郎首相(当時)が北朝鮮を訪れ、金正日総書記(同)と首脳会談に臨みました。午前中、拉致を認めなかった北朝鮮は、午後になって国家機関による拉致を認めた。

 当時、内閣官房副長官として随行した安倍晋三首相が、北朝鮮側に漏れることを前提で、小泉氏に「拉致を認めないなら帰りましょう」と詰め寄ったことも大きかった。

 それ以上に、北朝鮮が日本の憲法をよく研究していた。「国としてやった」と言えば、日本の動きを封じ込めると考えた。

 結果、その通りになりました。首脳会談から16年。横田めぐみさんら拉致被害者全員の帰国は、果たせていない。最大の理由は憲法9条です。

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 私は神戸市生まれです。平成7年1月17日、阪神淡路大震災が発生し、死者は6千人を超えました。

 救援に向かった自衛隊は、渋滞に阻まれた。赤信号でもとまった。押し通ることが法律で認められていないからです。その間、被害は拡大した。

 自衛隊は、自衛隊法など法律に書いていないことは何一つできない。不測の事態への対応ができない。

 世界各国は逆です。法律などで、軍隊が絶対にしてはならないことを定める。

 この状況を説明すると、海外の軍事関係者は、驚きます。「自衛隊は不思議だな」という米軍関係者に、「米国がつくった憲法のせいだ」と言いました。すると「変えないのはお前たちだ」と言い返されました。

 憲法改正では、この現状を固定化させてはならないのです。

 今後、世界では核拡散が進む可能性が大きい。6月の米朝首脳会談は、核兵器さえ持ってしまえば米国が対話に応じる、という前例になったからです。

 ある程度の核技術を持っているアルゼンチンやブラジル、スイス、韓国、台湾などが、核兵器保有に動く事態になりかねない。

 米国は、世界の面倒をみる国ではなくなってきている。その中で、アジアはどうなるか。この地域が中国に支配されることは、米国も嫌がっている。安倍首相は、アジア安定の責任を積極的に担おうとしているからこそ、トランプ氏から信頼されているのです。

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