国民の自衛官(2)

豊富な潜水経験生かし「国民に安心与えたい」 海自第15護衛隊護衛艦はまぎり 榎田喜文1等海曹(52)

「ドックダイバーとして緊張感を持って任務を全うしたい」と語る榎田喜文1等海曹=青森県むつ市(福田徳行撮影)
「ドックダイバーとして緊張感を持って任務を全うしたい」と語る榎田喜文1等海曹=青森県むつ市(福田徳行撮影)

 中学生のころから海に親しみ、将来はダイバーの仕事に就きたいと思っていた。自衛官だった父親に勧められ、迷わず海上自衛隊に入隊。潜水士として約1万2000時間、無事故潜水を達成し、身の危険を顧みず数々の爆発物調査などに関わった。

 潜水作業は1人ではなく、チームか、2人1組が基本だ。刻々と変わる気象条件の下で臨機応変に対応しなければならない。しかも、重さ20数キロの酸素ボンベを背負い、40メートルも潜ることがある。

 体に掛かる水圧は想像を絶する。状況判断を誤ると命取りになるだけに「潜水中は階級は関係ない。一緒に潜っている相手のボンベの残圧や顔色など常に互いに気を配ることが重要だ」と語る。

 幾多の経験の中で、印象に残るのが、平成12年に訓練で硫黄島に向かう途中の夜中、三宅島付近で発生した地震だ。急遽、ボートで住民の避難に当たったが、波にのまれ転覆。幸い大事には至らなかったが「海の怖さを改めて思い知らされた」という。

 6月から陸上勤務になり、現在はドックダイバーとして船の修理に携わる一方、有事の際に即応できるよう、大湊水中処分隊と潜水訓練を重ねている。

 「災害時やいざという時に自衛隊が存在することで国民に安心感を与えられることが重要。緊張感を持って任務を全うしたい」。顔を一層引き締めた。(福田徳行)

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