高見国生の認知症だより(32)

「嫉妬妄想」は不安な気持ちから スキンシップを

京都府立医科大神経内科の講座で認知症の男性(93)が取り組んだ「面白い顔のコラージュクロッキー」。顔のパーツを福笑いのように自由に配置、オイルパステルで表情豊かに描き、面白い顔をつくった(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)
京都府立医科大神経内科の講座で認知症の男性(93)が取り組んだ「面白い顔のコラージュクロッキー」。顔のパーツを福笑いのように自由に配置、オイルパステルで表情豊かに描き、面白い顔をつくった(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)

 82歳の妻に嫉妬妄想で責め続けられ、時には暴力行為も出るので疲れきっている88歳の夫がいます。嫉妬妄想とは、配偶者が浮気をしていると思い込んでしまう認知症の症状です。女性にも男性にも現れることがあります。

 その夫はかつては自営業で、従業員も10人近く雇い、手広くやっていました。妻は従業員の食事も作り商売も手伝い、夫に尽くし子育てに励む良妻賢母を絵に描いたような人でした。

 その妻が最近、夫を疑い始めました。老人会の行事などで他の女性と写っている写真を見て、「この女と浮気をしている」と責めます。また、「昔、女を家に連れ込んで子供を産ませた」と責めます。妻をデイサービスに連れて行くために迎えに来た女性職員と話していると、また怒ります。

▼【高見国生の認知症だより(31)】一人暮らしの親、どう介護する? 息子・娘の力だけでは…

 娘さんに言わせると、「昔のことは分からないが、今の父はそんなことは全くない。子供を産ませた話は、弟のお嫁さんが子連れで来たことを勘違いしている」。

 夫は妻の言動は病気から来るものと分かっているので、逆らわないようにしています。しかし暴力まで出てくると、さすがに困り果てています。

会員限定記事会員サービス詳細