82歳の妻に嫉妬妄想で責め続けられ、時には暴力行為も出るので疲れきっている88歳の夫がいます。嫉妬妄想とは、配偶者が浮気をしていると思い込んでしまう認知症の症状です。女性にも男性にも現れることがあります。
その夫はかつては自営業で、従業員も10人近く雇い、手広くやっていました。妻は従業員の食事も作り商売も手伝い、夫に尽くし子育てに励む良妻賢母を絵に描いたような人でした。
その妻が最近、夫を疑い始めました。老人会の行事などで他の女性と写っている写真を見て、「この女と浮気をしている」と責めます。また、「昔、女を家に連れ込んで子供を産ませた」と責めます。妻をデイサービスに連れて行くために迎えに来た女性職員と話していると、また怒ります。
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娘さんに言わせると、「昔のことは分からないが、今の父はそんなことは全くない。子供を産ませた話は、弟のお嫁さんが子連れで来たことを勘違いしている」。
夫は妻の言動は病気から来るものと分かっているので、逆らわないようにしています。しかし暴力まで出てくると、さすがに困り果てています。